パワポで図を作成するときにほとんどの方が感じたことがあるであろうイライラ、それが図の「誤選択」です。
- 「線」を選択したいのに重なっている「四角形」を選択してしまった
- 「テキストボックス」を選択したいのに裏の「写真」を選択してしまった
等々、「お前じゃねーよ!」と叫びたくなる経験を皆さんもお持ちではないでしょうか?
本記事では、こうした「パワポの図形誤選択のイライラ」を減らす方法を3つご紹介します。
複雑なスライドをよく作るそこのあなた、ぜひご活用ください!
パワポで頻発する図の「誤選択」とは?
パワポで複雑なスライドを作成していると、1枚のスライドにたくさんの図形・写真・テキストボックスが配置されることになります。
そうすると必然的にオブジェクトの「誤選択」が発生します。お目当てのオブジェクトではなくその隣の図形を触ってしまうのです。
私は仕事柄、地図や図面に多数の書き込みを入れたスライドを作成することが多いのですが、書き込みではなく背景の地図や図面の画像を選択してしまい、よくイライラしていました。
誤選択するだけならまだ良いのですが、いつの間にか誤選択して変な場所に図形を移動してしまっていた、となるともうPCを放り投げたくなります。
Illustratorでは「誤選択のイライラ」は起こらない!
実は今回紹介する方法は、パワポとイラレ(Adobe Illustrator)との対比の中から生まれました。
私は学生時代はよくAdobe Illustrator図を作成していました。Illustratorは図形ごとに「表示/非表示」「ロック/ロック解除」を自由に選択できるので、邪魔な図形を一時的に非表示にしたり、見えていてほしいけど触りたくない図形にロックをかけたりしていました。したがって、その頃は誤選択のイライラとは無縁でした。
一方で、残念ながらパワポにはこんな機能は備わっていません。
そのため、他の機能を使って似たようなことができるように色々工夫しました。その試行錯誤の成果を皆さんにシェアします。
誤選択のイライラ解消術①|「オブジェクトの選択と表示」で触りたくない図形を非表示にする
誤選択のイライラ解消術の1つ目は「触りたくない図形を一時的に非表示にしてしまう」という方法です。
「ホーム」タブの「配置>オブジェクトの選択と表示」をクリックするとスライド中に存在するすべての図形が一覧で表示されます。
すると、一覧から図形を選択したり、各図形の「表示/非表示」を変更したりできるようになります。
これはIllustratorの「レイヤー」機能に近いです。
この「オブジェクトの選択と表示」機能を使って、触りたくない図形を一時的に非表示にしてしまえば快適に図形の編集ができます。
ただし非表示にした図形は見えなくなってしまうので、「見えていてほしいけど触りたくない図形」は非表示にするわけにいきません。その点が微妙です。
誤選択のイライラ解消術②|「スライドマスター」で動かしたくない図形を背景に埋め殺す
誤選択のイライラ解消術の2つ目は「触りたくない図形を背景に埋め殺してしまう」という方法です。
上述の「オブジェクトの選択と表示」を使う場合と異なり、「見えていてほしいけど触りたくない図形」をロックしたい場合に有効です。
「見えていてほしいけど触りたくない図形」とは、例えば情報を書き込む下地としての地図や図面です。
私は仕事柄よく地図や図面に書き込みを入れた説明スライドを作成します。
地図の上に色々書き込んでいきたい場合、「地図は触りたくないけど地図そのものを非表示するわけにはいかない」状態になります。
「触りたくない図形を背景に埋め殺す」ためには「スライドマスター」という機能を応用します。
「スライドマスター」とは本来は同じデザインのスライドを量産する「雛形」の機能です。
スライドマスターの基本的な使い方は以下の記事をご覧ください。
今回はこの「スライドマスター」機能を応用して触りたくない図形を背景に埋め殺します。
以下のように「地図上に主要駅名の書き込みを入れる場合」を例に操作方法を説明します。
Step1. スライドマスター編集画面を開く
スライドマスター機能を利用するためには、まず専用の編集画面を開く必要があります。
「表示」タブ>「スライドマスター」をクリックしてください。
「スライド マスター」タブを含む何やら見慣れない画面が出てきます。
Step2. 新しい「レイアウト」を追加
続いて、「レイアウトを挿入」を押してください。
新しいスライド(「マスタータイトルの書式設定」というテキストボックスが配置されています)が追加されます。
Step3. 触りたくない図形を配置する
Step2で追加した新しいスライドに「見えていてほしいけど触りたくない図形」を配置します。
その際、もともとあったテキストボックスはすべて削除していただいて構いません。
これで「触りたくない図形が埋め殺された背景」が完成しました。
Step4. 「スライドマスターの編集画面」から出て個別スライドに戻る
続いて、Step3で作成した背景を実際に使っていきます。「スライドマスター」タブの「マスター表示を閉じる」を押してください。
「スライドマスターの編集画面」から出て個別スライドの編集画面に戻ることができます。
Step5. 完成した背景を使ってスライドを作成
いよいよ「触りたくない図形が埋め殺された背景」を使ってスライドを作成していきます。
「新しいスライド」をクリックし、上で新たに作成した「見えていてほしいけど触りたくない図形」が配置されたレイアウトを選択してください。
そしてそのスライドを下地として図を作成してください。
「見えていてほしいけど触りたくない図形」たちはクリックできないようになっているのですごく快適です!
誤選択のイライラ解消術③|「画像化・グループ化」で図形の数を減らす
誤選択のイライラ解消術の3つ目は「画像化・グループ化で図形の数を減らす」という方法です。
誤選択のイライラが発生する根本的な原因の1つとして「スライド上の図形が多すぎる」ことが挙げられます。
5個の図形の組合せでできている図よりも、30個の組合せでできている図のほうが誤選択のイライラが発生しやすいですよね?
そのため、誤選択のイライラを減らすためには「使用する図形を減らす」ことが有効です。
図形の数を減らす方法①|図形を画像化する
使用する図形の数を減らすのに有効な方法として「図形の集合を画像にする」というものがあります。どんなに複雑な図でも「画像化」してしまえば1個です。部分を誤選択することはなくなります。
例えば、以下のパワポで作った地図を画像化してみましょう。
画像化の方法は2つあります。
【基本】地図全体を選択>コピー(Ctrl+C)>右クリック「貼り付けのオプション:図」
【画像ファイルとして保存したい場合】地図全体を選択>右クリック「図として保存」
いずれの方法を使った場合でも、ペーストした図形は画像なので細かい部分は編集できなくなっています。
そうすることで誤選択の可能性はかなり減ります。
図形の数を減らす方法②|図形をグループ化する
使用する図形の数を減らす方法の2つ目として「図形をグループ化する」方法があります。
グループ化の基本的な考え方から順を追って説明します。
グループ化とは?
図形の「グループ化」とは「複数の図形をまとめて1つの図形のように扱えるようにする」機能です。
図形をグループ化すると、グループ単位で図形の拡大・縮小・移動が可能となり、レイアウトが崩れなくなります。
以下のいずれかの方法で図形をグループ化してください。
範囲を選択>右クリック>グループ化
範囲を選択>Ctrl+G
グループ化するとなぜ「誤選択のイライラ」を減らせるのか?
では、なぜこの機能を使うと「誤選択のイライラ」を減らせるのでしょうか?
それは、「グループ化された図形をクリックするとグループ全体が選択されるから」です。
グループ化されていない状態ではグループを構成する個別の細かい要素が選択できてしまう一方で、グループ化された状態だとグループ全体のみが選択されます。
グループ化することで見かけ上の図形の数が減るのです。
「画像化」と何が違うのか?
図形の数を減らすだけであれば上述の「画像化」と同じでは?と思う方もいるかもしれませんが、両者は異なります。
一度「画像化」してしまった図形はそれ以降編集できないのに対し、「グループ化」しても図形ごとの編集作業ができなくなることはありません。
グループ全体を選択後に個別の図形をクリックすることで、塗りつぶし等の装飾や、サイズを大きくしたり、小さくしたり、グループ内で位置を移動させたりといった作業も可能です。
図形の数を減らす場合、画像化よりもグループ化のほうが柔軟な対応が可能です。
まとめ
以上、パワポで「図形の誤選択のイライラ」を減らす方法を3つ紹介しました。
- 複雑な図はグループ化or画像化でまとめ、
- 邪魔な図形は「オブジェクトの選択と表示」で一時的に非表示化し、
- 「触りたくないけど非表示にできない図形」は「スライドマスター」を使って背景に埋め殺す
を実践するだけで誤選択のイライラは相当減ります。
ぜひ本記事の内容を繰り返し実践し、資料作成を効率化してください!
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誤選択のイライラ解消術【番外編】|大きいディスプレイを使う
最後にもう1つ誤選択のイライラ解消のコツを紹介します。
もはやパワポの操作方法ですらないのでおまけですが「大きいディスプレイを使う」ことです。
図形を誤選択してしまう背後要因として「小さい画面でスライドを編集している」というものもよくあります。
小さい画面を使う場合、ちょっとマウスを動かすだけで大きく場所がずれてしまい、精度よく図形を選択することが難しいです。
他方、大きい画面を使えばスライド全体が大きく表示されているのでピンポイントで図形を選択することができ、操作の正確性も上がります。
普段小さいノートPCを覗き込み、眉をひそめて作業をしている方はぜひ大型ディスプレイの導入を検討してみてください。
私はセカンドディスプレイとして「27インチ以上」で「4K」のディスプレイを推奨しており、以下のディスプレイを愛用しています。
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